2020年度からスタートする<新>大学入試!その目玉の一つが英語の民間試験の導入です。しかし、東大は民間試験の成績提出を必須としない方針を発表・・・。そこで今回は、<新>大学入試における英語民間試験の内容や課題について検証します!
2020年度スタート!<新>大学入試とは?
日本の大学入試制度は、2020年度から従来の「大学センター試験」が廃止され、新たに「大学共通試験」が始まります。
その中でも、大きな注目を集めているのが、英語科目での民間試験の導入です!
受験生は、高校3年の4月~12月の間に認定された民間試験を受験しその結果を提出。
では、この民間試験には一体どんな試験があるのでしょうか?。
4技能を測る!英語の民間試験とは?
新・大学入試で導入される英語の民間試験では、「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能が評価されます。
現在、大学入試センターの認定を受けている民間試験は、以下の8種類です。
- 英検
- ケンブリッジ英検
- TOEIC
- TOEFL iBT
- GTEC
- IELTS
- TEAP
- TEAP CBT
問題の内容や出題方法が違うこれらの試験の結果は、CEFR(セファール)(※)を用いて評価されます。
※外国語のコミュニケーション力を示す国際標準規格。A1~C2までの6段階の分かれている。
各大学・学部によって変わりますが、例えば「A2」以上の成績が出願資格として必要というような基準が設けられることになります。
では、CEFR「A2」とはどのくらいのレベルの英語力なのでしょうか?
CEFR(セファール)「A2」ってどれくらいの英語レベル?
CEFR(セファール)の「A2」とは、6段階中下から2番目のレベルです。
また、CEFRが示している共通参照レベルでは「A2」の英語レベルについて、
「ごく基本的な個人情報や家族情報、買い物、地元の地理、仕事など、直接的関係がある領域に関しては、文やよく使われる表現が理解できる。簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄について、単純で直接的な情報交換に応じることができる」
と、記述されています。
なんだか、ピンとこないですね(汗)
身近な試験である英検だと、「準2級~2級」のレベルだそうです。
つまり、大体、高卒レベルの英語力は必要と言えるでしょう。
英語の民間試験を導入している大学とは?
現在既に、多くの大学の入試で英語の民間試験の結果を合否判定に取り入れています。
関東では、筑波大学、千葉大学、早稲田大学、上智大学、東京理科大学、青山学院大学など、関西では、同志社大学、関西学院大学、立命館大学などが挙げられます。
※いずれも、試験の種類や学部が異なるので、詳しくは各大学のHPを参照してみてください。
2020年度を前に、こんなに多くの大学で4技能試験の導入が進んでいるのは、驚きです。
東大入試に英語民間試験は必要ない!?
2017年11月には、全国86の国立大学法人から成る国立大学協会が、国立大学の受験生全員に英語の民間試験を課すという「基本方針」を発表しました。
これに対して、2018年9月、東大は、英語の民間試験の成績の提出を必須としない基本方針を決めたということです。
東大入試での英語民間試験の位置づけ
東大入試では、英語の民間試験は完全に必要ない訳ではありません。
東大では、CEFR(セファール)「A2」相当以上の英語力を出願要件に求めると決定。
その確認方法として、
①「A2」相当以上の民間試験のスコア
②高校が「A2」以上と認めた調査書
③障害や病気などで受験できない理由を記した文書
の3つが挙げています。
これらは、出願資格に反映されますが、合否判定には一切使用されないというのがポイント!
とにかく、英語の成績は必要だけど、民間試験の結果ではなくてもOK(高校側からの調査書でも大丈夫)!ということ。
では、なぜ、東大はこのような決定を下したのでしょうか?
東大が英語民間試験を義務づけない「理由」とは?
東大は、英語民間試験の成績提出を必須としない理由について次のように述べています。
トラブルが発生した際に受験生を保護する対応策や責任体制がいまだ明確にされておらず、公平・公正の観点から多くの課題が残されている
引用元: 東大新聞オンライン
確かに、CEFR(セファール)を用いたとしても、異なる8種類の英語試験を本当に公平に評価できるか?と考えると難しい気がします。
大学受験は、受験生の人生を左右するとも言えますので、実際に問題が起きた時の対応の仕方も不安が残るところです・・・。
そこで、東大の五神真総長は、林芳正文部科学大臣と直接会談。
「文科省と大学入試センターが入試制度全体に責任を持つ」という約束を取り付けたそうです。
英語の民間試験導入の「課題」とは?
上記でご紹介した様に、英語の民間試験は、異なる試験の結果を公平・公正に評価する難しさという課題が残ります。
また、民間試験の検定料が受験生の負担になるという懸念の声もあるのも事実です。
こうした不安要素を含んだまま、安易に入試に導入しないという東大の判断は賢明かもしれません。
とにかく、今回の東大の決定が、他大学の動向に影響を及ぼすのは間違いないでしょう。